皆さんは新聞など見たときに、「G1でもぶっちぎり!最強馬」などの見出しを見た事はないでしょうか?
その時にぶっちぎりってどのくらい速いの?と疑問に思う方もいると思います。
今回は、とんでもないスピードで競馬場のコースを駆け抜けていく競走馬たちの馬の時速は何キロなのかをご説明いたします。
この記事を読んだ後に、レースを見ると感覚も変わりますので、ぜひ読んでみてください。
そもそも競走馬は長距離レースを時速何キロで走る?
競馬の中継を見ていても、競走馬の時速って非常に気になりますよね。
競馬のラップタイムは200m(1ハロン)ごとに計測されるのが一般的です。
短距離レースは200mを10秒台~11秒台前半で走っていきます。
なんと、時速に換算すると、70キロ前後で走っているのです。
一方、長距離レースの場合は200mのラップタイムが12秒台から13秒台になるケースがほとんどです。
仮に200mのラップタイムを12秒台でキープし続けると、時速は60キロとなり、13秒台でキープし続けた時の時速は54キロになります。
長距離の60キロでも速いですよね。
結果的に、長距離レースは200mのラップタイムが13秒台になることが多いので、長距離レースの時速は54キロになるのが一般的です。
調教タイムとは?また見方は?
競馬新聞には、必ず調教の内容が記載されています。
そこに調教タイムというものもあるんです。
レースに出走する競走馬たちは皆、「調教」という、いわば「試合前の調整」を行います。
そして、この調教の際の記録されたものが「調教タイム」なのですが、この存在を知っているか否かは競馬の順位予想に非常に大きく影響します。
ざっくり言えば、本番前の練習でどのくらいのタイムで走れたのかを示す成績表のようなものです。
たとえば「63.1―50.2―36.3―12.1」という調教タイムが記録されていたとすると、
ラスト1ハロン(200m)が12.1秒
ラスト3ハロン(600m)が36.3秒
ラスト4ハロン(800m)が50.2秒
ラスト5ハロン(1000m)が63.1秒
というインターバルで走れたことになります。
1ハロン(200m)ごとに計測が行われており、各ハロン間でのタイムを見てどういったペースでコースを走れているのかをチェックできるわけです。
競走馬は速くなり続けていたが、もう限界!?
近年の競走馬は過去より速度が上がっているという、面白い研究結果があります。
研究した結果からお伝えすると、165年間の競馬の歴史の中で優勝記録を見ると、競走馬は速くなり続けていることが判明しました。
しかし、競走馬のスピードは限界に達していると言われてもいます。
研究では、競走馬のスピードは1950年以来速くなっていないと結果がでています。
これは競馬業界ではサラブレッドの速度は限界に達したものと言われています。
短距離レースだけは速くなっている
研究の内容を深く見ていると、分析結果を発見しました。
イギリスのエクセター大学博士課程に在籍するパトリック・シャーマンは、従来の研究が包括的なものではないことに気がついたようです。
研究では、限られたレースの優勝記録しか分析していなかったのです。
また中距離(約1600~2400m)と長距離(約2800~4000m)は対象とされているが、短距離(1000~1400m)については除外されていました。
そこで、シャーマンは、1850~2017年までのいわゆるエリートレースの一つ一つの結果のほか、1997年以来の全レースを含めて分析ました。
その結果、1910~1975年にかけては、速度にほとんど改善が見られませんでした。
しかし、短距離レースに関しては着実に向上していることが判明したんです。
過去15年間の1200mレースにおける平均優勝記録は1秒以上も縮まっている事が解っています。
短距離レースとしては相当な短縮ですよね。
最近の競走馬は、90年代初頭の競走馬を7馬身も引き離す事になります。
しかし、中距離と長距離においては、ほとんど変化がないので、スプリンター系の馬にはまだ可能性があります。
あの名馬ディープインパクトの時速は?
2019年7月に骨折により安楽死したディープインパクトは、大きくニュースに取り上げられました。
ディープインパクトは競馬ファンはもとより、競馬を知らない人でも「名前は聞いたことがある!」というくらい有名な馬でしたよね。
ディープインパクトは強く優秀な馬だったからこそ、これほどの知名度を誇っているわけですが、そんなディープインパクトの最高速度は一体どのくらいだったのかちょっと気になりませんか?
結果を先に言うと、ディープインパクトの最高時速は約65キロほどだったと考えられています。
競馬はタイムを競う競技ではないので、正式に記録されているわけではありません。
ですが、ディープインパクトが最も速く走ったレースから計算すると、65キロ前後になります。
時速だけで見ると、遅いわけではありませんが歴代最高というわけでもありません。
しかしレースで圧倒的な強さを見せていたのは事実です。
馬は全力で走ると死んでしまうの?
馬は品種によってトップスピードの違いはあれど、動物の中でもかなり速い部類です。
だからこそレースに使用されているのですが、それ以外に馬がレースに使用されてる理由として、騎手の言うことをきいてくれるという部分が大きなポイントになります。
多くの動物の中でも馬は賢く、人間の指示を聞くため、レース中でも「序盤はゆっくりで、最後に追い込むぞ」という人間の意思をしっかり受け取り、騎手のプラン通りに走らせることができるわけですね。
実に真面目で健気な生き物です。
しかし、この真面目さは時に諸刃の剣になります。
なぜかと言えば、その馬が乗り手を信頼しているとその命令に従い続けてしまうからです。
よく「馬は死ぬまで走る」などと言われるのも、この従順さが原因になります。
たとえばあなたが「全力で走って!」と指示されて、フルパワーで走るとしましょう。
しかしどんなに足が速い人間でも、そう長い間トップスピードで走り続けることはできません。
必ず息が切れて苦しくなりますし、手足の動きも追いつかなくなるでしょう。
その時に脇から「止まっちゃダメ!走り続けて!」と指示されても、「無理!」とストップすると思います。
また、とても頑張り屋さんで、どうにか走り続けようとしても、最終的に本能が「これ以上は危険」と判断すれば動きを止めるでしょう。
しかし馬は「走れ」と指示されると、苦しくても走り続けてしまう生き物のようで、心肺機能に支障がでても頑張ってしまい、その状態を維持すると最終的には死んでしまうというわけなのです。
つまり「馬は全力で走ると死ぬ」というよりは、「馬は死ぬまで全力で走ろうとする」といった感じですね。
まとめ
今回は、競馬ではどのくらいの速度が出ているのか?という疑問に、馬と速さについて紹介してきました。
まず、競馬の時速は50〜70キロでサラブレッドのトップスピードは時速85キロです。
馬は信頼する相手に命令されると限界まで走ろうとします。
サラブレッドは速さを求めて改良された品種ではありますが、競馬は速さだけでは語れません。
速い馬=強い馬ではないというところが競馬の面白い部分です。
また、馬が人間の指示を理解してくれる動物だからこそ、競馬が成り立っているとも言えますね。
馬という素晴らしい動物に感謝しつつ、競馬を楽しみたいものです。