2019年の名馬と言えば有馬記念でアーモンドアイを破ったリスグラシューではないでしょうか?
圧倒的な人気で誰もがアーモンドアイが1着になると思われた中、2番人気だったリスグラシューが有馬記念を勝利したことで記憶に残っている方も多くいるかと思います。
そして、その有馬記念を勝利した事により、2009年のドリームジャーニー以来史上10頭目となる同一年の宝塚記念と有馬記念優勝を達成し、牝馬としては初めての快挙を遂げた名馬です。
本記事では、アーモンドアイを破ったリスグラシューがどの様な馬だったのか、競走成績などを交えて紹介していきます。
リスグラシューはどんな馬?
リスグラシューは2014年1月18日に北海道安平町のノーザンファームで誕生しました。
母のリリサイドは現役時代にフランスでリステッド競走を3勝を挙げている名馬です。
2010年7月28日には馬主がAnthony Fordeから吉田勝己名義に変更され、引退後はノーザンファームで繁殖入りした経歴を持っています。
リスグラシューは早い時期から活躍しましたが、古馬となってから4つのGI競走を制覇し、2019年にダミアン・レーンとのコンビで宝塚記念を制すると、オーストラリアのコックスプレートでも優勝を遂げました。
2019年に開催された有馬記念では1番人気のアーモンドアイを破り、見事な勝利を飾り、牝馬初の春秋グランプリ制覇を達成したのです。
リスグラシューという馬名は母名より連想し、フランス語で「優美な百合」を意味ており、2019年のJRA賞年度代表馬、2018年・2019年のJRA賞最優秀4歳以上牝馬となっています。
下記にリスグラシューの競走馬データを紹介します。
馬名 | リスグラシュー |
---|---|
欧字表記 | Lys Gracieux/td> |
香港表記 | 雍容白荷 |
品種 | サラブレッド |
性別名 | 牝馬 |
毛色 | 黒鹿毛 |
誕生日 | 2014年1月18日 |
父 | ハーツクライ |
母 | リリサイド |
生産 | ノーザンファーム |
馬主 | キャロットファーム |
調教師 | 矢作芳人(栗東) |
厩務員 | 北口浩幸 |
リスグラシューの競走成績
リスグラシューは過去に数多くの名勝負を見せつけてきました。
こちらでは、リスグラシューの過去の競走成績を一覧で紹介します。
日付 | 競馬場 | 競走名 | クラス | 着順 |
2018.5.13 | 東京 | ヴィクトリアマイル | GI | 2着 |
2018.6.3 | 東京/td> | 安田記念 | GI | 8着 |
2018.10.13 | 東京 | 府中牝馬S | GII | 2着 |
2018.11.11 | 京都 | エリザベス女王杯 | GI | 1着 |
2018.12.9 | 沙田 | 香港ヴァーズ | G1 | 2着 |
2019.3.10 | 中京 | 金鯱賞 | GII | 2着 |
2019.4.28 | 沙田 | QE2世C | G1 | 3着 |
2019.6.23 | 阪神 | 宝塚記念 | GI | 1着 |
2019.10.26 | ムーニーバレー | コックスプレート | G1 | 1着 |
2019.12.22 | 中山 | 有馬記念 | GI | 1着 |
リスグラシューのレーススタイル
リスグラシューはデビュー当時からマイルを得意とし、結果を残しています。
また、デビューから2戦目の芝1800m未勝利戦では2歳馬のレコードタイムを記録するなど、スピード能力でも高い評価を得ていた名馬です。
姉のプルメリアスターやレイリオンも短距離からマイルを使われていることから、距離適性としては1600m前後が適性距離ではないでしょうか?
主な勝鞍としてマイル重賞のアルテミスステークスもあるので、やはりマイルに適正が高い馬と見て間違いありません。
オークスでも能力の高さで5着になっていますが、リスグラシューはG1でも安定した戦績を残しているため、2400mの長距離が適しているとは言えないかもしれません。
リスグラシューの名勝負
リスグラシューの名勝負と言えば、昨年2019年に行われた有馬記念が競馬ファンの記憶に残っているのではないでしょうか?
迎えた有馬記念ではアーモンドアイらG1馬が11頭出走する近年まれに見る豪華メンバーが集まった中、アーモンドアイの1番人気に続いて2番人気に支持されていました。
レースではアエロリットが作った1000m通過58秒5というハイペースの中、リスグラシューは道中は先頭から大きく離れた中団後方で競馬を進めはじめました。
周辺に、アーモンドアイ、サートゥルナーリアを見ながらインコースでジッと脚を溜めて進出の機会を伺うレース運びとなり、4コーナー手前でアーモンドアイが動いて行くと隊列も大きく前のアエロリットを捉えに行く形で一気にペースアップをしていったのです。
その時も抜群の手応えで最短コースを駆け上がって行き、直線入り口で上手く外目に持ち出しGOサインを出し、そこから瞬時の加速で先に抜け出したサートゥルナーリアをかわし、あっという間に5馬身差を付ける衝撃のパフォーマンスを披露し、見事な勝利を飾りました。
この勝利で国内外GI競走3連勝、加えて2009年のドリームジャーニー以来史上10頭目となる同一年の宝塚記念と有馬記念優勝を達成し、これは牝馬としては初の達成となったのです。
リスグラシューが2019年1月19日に引退
海外レースを含め、1通算4勝、19年の年度代表馬に選出されたリスグラシューですが、2019年1月19日に京都競馬場の最終レース後に引退式が行われました。
引退式では、G1初制覇した2018年エリザベス女王杯や2019年の宝塚記念の時と同じく12番のゼッケンを身にまとい、多くの競馬ファンに見届けられました。
リスグラシューと4年という時間をともにした矢作氏は「(引退は)もったいないですね。寂しいです。これだけの馬にはもう巡り会えないかもしれないですね」と語り、「いい子を産んでもらって、子どもを連れて新しい京都に戻ってきたい」と、今後のリスグラシューの子どもに期待を持っている事を語っています。
また、引退式ではジョッキーが騎乗する事が一般的ですが、リスグラシューの引退式では矢作氏がパドックで背中にまたがりました。
「1回、乗りたいと思っていたから。とにかく感謝しかない」と笑顔でリスグラシューをお見送り、「種牡馬とは違って、ファンが見る機会がもうないので、引退式をやりたかった」と愛馬を見つめながら思いを語っています。
リスグラシューの引退後
リスグラシューが引退式を終えてしまいましたが、今後気になってくるのはその交配相手ではないでしょうか?
競馬ファンであれば誰もが気になる交配相手については生産者の吉田勝己ノーザンファーム代表は「ロードカナロアか、それともキャロットファームの馬なのでレイデオロがいいのか。モーリスか。まだ決まっていません。これからじっくりと考えたい」と、コメントしています。
リスグラシューが活躍した京都競馬場は今年の秋から全面改修が行われるため、「生まれてくる子を管理させてもらう予定なので、その子どもで新しく生まれ変わった京都競馬場に戻ってきたい」と矢作師は2世代目に夢を託し期待を込めて語っていました。
まとめ
今回は2019年の有馬記念で1番人気のアーモンドアイを抑え、見事に勝利を遂げたリスグラシューがどの様な馬だったのかを紹介しました。
2019年では引退前のレースとして見事に有終の美を飾り、競馬ファンの記憶に残りました。
2019年1月19日に引退式が行われ、今後はリスグラシューの走りを生で見る事ができなくなってしまいましたが、今後、リスグラシューの血統を継ぐ子どもたちがリスグラシューを越える活躍を見せてくれるのを期待しましょう。