競走馬の寿命はどのくらいあるのか知っていますか?
競走馬は日頃からハードなトレーニングを積み、一般的な馬と比べると身体に重い負担が掛かっているので短命になる傾向があります。
引退後も種牡馬として活躍する競走馬もおり、放牧されてのんびり過ごすという人生を歩む事は叶わないかもしれません。
また、レース中の怪我や病気によって予後不良と診断されてしまい、安楽死による殺処分されてしまうという悲しい現実もあります。
本記事では、そんな競走馬の寿命についてや引退後の競走馬が寿命を迎えるまで何をしているのかを解説していきます。
馬の平均寿命は20〜30年
一般的な馬の平均寿命は20~30年と言われています。
中には40歳まで生きた馬もいますが、基本的には20~30年の寿命を全うしています。
しかし、あくまで一般的な馬の話で、競走馬になると長く生きることができないのです。
なぜかというと、競走馬はサラブレッドとして生まれレースでいかに速く走れるかという所に重点を置かれ、日々激しい調教を行って常に身体に負担をかけています。
「速く走る」レースに出るのは2〜3年程度ですが、実績を残してきた競走馬は引退後の余生を種馬として活躍しなければなりません。
その為、牧場や観光地にいる馬と比べると身体への普段が比べられない程高く、寿命を縮めているのです。
ちなみに、馬の年齢を馬齢(ばれい)と言い、馬齢は生まれた時を0歳とし、生まれた月に関わらず年が明ける1月1日に歳をひとつとります。
大体、馬の年齢×4=が人間の年齢と同じくらいと認識しておきましょう。
精神的な負担で短命になることも
競走馬は日々の調教でも身体への負担は大きいですが、レース本番で勝つことへの責任で精神的に追い詰められてしまうこともあります。
数々の功績を残してきたディープインパクトも17年と、一般的な馬と比べると短命だったことが分かります。
17歳を人間でいうと、50代後半から60歳ぐらいです。
競走馬は身体が丈夫だから長生きしそうと思われがちですが、この様に寿命が短いことが多くなっています。
速く走る事を課せられ、精神的に追い詰められてしまい胃潰瘍の薬を与えられる馬も少なくないといいます。
これは、人間と同じかもしれません。
会社に所属しているサラリーマンであれば上司から無理難題な課題を押し付けられ、鬱や胃腸炎になってしまう方もいますよね。
そのため普通の馬よりも寿命はどうしても短くなります。競走馬としてレースに出るのは5歳ぐらいまで、その後は子孫を残すために牧場で暮らします。
血統を重んじる競馬では強い馬の遺伝子が必要なのです。
この事からも牧場でのんびりと過ごしている普通の馬よりも、日々ハードなトレーニングを重ねている競走馬の方が死亡するリスクが高いのは明白でしょう。
レース中の怪我によって殺処分
競走馬の寿命が短いと言われているのは、レース中の事故や怪我によって予後不良となり、殺処分されてしまうのが一番の理由かもしれません。
怪我の度合いによっては獣医の判断により、安楽死にされてしまうことがあります。
例えばテンポイントやライスシャワー、ホクトベガ、サイレンススズカ、といった日本競馬界を代表する名馬もレース中の怪我が原因で死亡しています。
レースのの怪我となれば、もちろん競走馬は現役で4〜5歳くらいの馬が多く、人間に例えると20歳くらいの年齢です。
若くして殺処分は可哀想と思われてしまうかもしれませんが、怪我によって馬として正常に生きていくことができないのであれば、安楽死による殺処分が馬にとっては幸せなのかもしれません。
競走馬でも長寿な馬が存在する
競走馬は一般的な馬と比べ寿命が短くなる傾向が高いですが、競走馬の中にも馬の平均寿命を超えて長い人生を全うした競走馬も少なからずいます。
こちらでは、競走馬として引退後も長い生命を全うした競走馬たちを紹介していきます。
シンザン(1961年~1996年)
シンザンと言えば1964年に史上2頭目となる牡馬クラシック三冠を達成した、昭和中期の名馬でしょう。
現役中は19戦して15勝、2着4回を記録し、生涯の2着以内率が100%という日本記録を樹立しています。
2014年8月26日にシャルロットという馬に更新されるまで、日本のサラブレッドの最長寿記録を保持していました。
そんなシンザンは35歳と長生きし、馬の平均寿命を超えたのです。
メジロティターン(1978年~2009年)
メジロティターンは1982年に天皇賞(秋)を当時のレコードタイムで優勝するなど、現役中に重賞を3勝した名ステイヤーでした。
現役引退後に種牡馬入りをしていて、代表産駒にはG1を4勝したメジロマックイーンがいます。
そして、メジロティターンは31歳まで人生を全うしたのです。
ハイセイコー(1970年~2000年)
ハイセイコーと言えば、競馬人気の火付け役と言っても過言ではない存在でしょう。
地方競馬では圧倒的な力を見せつけ、中央競馬に移籍しても皐月賞などを優勝しました。
長生きしたことではあまり有名ではないかもしれませんが、ハイセイコーは30歳まで寿命を全うしたのです。
1970年代に第一次競馬ブームを巻き起こしたアイドルホース。
引退後に寿命を迎えるまで
競走馬は現役時代に活躍し、引退したその後、寿命を迎えるまでどのような人生を送っているのかご存知でしょうか?
競馬を知らない人はいないと思いますが、競馬で活躍した後、引退した競走馬たちがどこへ行くのか、皆さんは知っていますか?
競走馬として引退後は、乗馬クラブへ移ったり、競技馬として活躍したりと、様々道はあります。
特に、引退後の余生を北海道で余生を過ごす馬も少なくありません。
しかし、現在の日本では全ての引退後の競走馬を受け入れられる環境が整っていないのです。
乗馬クラブへ受け入れされたとしても、馬を維持するための費用もそれなりにかかり、寿命を迎える前に殺処分されてしまうこともあります。
また、「速く走る」ために調教された競走馬は、例え乗馬クラブへ移ったとしても、その馬にとっては本当に快適な環境とは言えないでしょう。
強い馬は寿命を迎えるまで種牡馬として活躍
現役中に数多くの功績を残してきた競走馬は競走馬と引退したとしても、寿命を迎えるまでのんびり過ごすということはできません。
現役中に活躍した競走馬は、種牡馬(しゅぼば)として優秀な遺伝子を引き継ぐ子供たちをたくさん残す必要がでてきます。
例えば、数多くの功績を残したディープインパクトは種牡馬となった後は種牡馬として年間200頭前後の種付をしています。
競走馬として引退した後も休む暇なく種牡馬として活躍していたので、短命になってしまうことも納得できるでしょう。
まとめ
以上、本記事では競走馬の寿命はどれくらいなのか、引退後寿命を迎えるまではどう過ごしているのかを紹介しました。
競走馬は一般的な馬と比べると日々ハードなトレーニングを行っているので寿命が短い傾向があります。
つまり、競走馬は自分の命を削ってでもレースで速く走るために努力しているので、馬券の的中、不的中も大事かもしれませんが、競走馬が無事に怪我なく走りきって見守ることも大事でしょう。
中には馬の平均寿命を越して生きる競走馬もいますが、長寿の競走馬はごく僅かなので、短い寿命をレースのために使っていると考えても良いかもしれませんね。