競走馬は競馬ファンを楽しませたり、自身の勝利のために日々調教や練習に励んでいます。
そして、力強いレースの迫力によって競馬ファンになったという方も多いかもしれません。
しかし、サラブレッドとして生まれ、競走馬になった馬は年間7000頭近く誕生していますが、その中でレース中の事故や怪我などによって年齢に関係なく引退を余儀なくされる馬は年間5,000頭にものぼります。
競走馬の「引退」という言葉を聞くと、年齢的にレースに出場するのが厳しくなってきたのではないかと想像するかもしれませんが、現実は怪我や病気で競走馬人生を挫折し、引退してしまう競走馬も少なくありません。
さらに、レース中の怪我は競走馬にとっては命に関わる重大な事で、怪我の程度によっては予後不良となり殺処分を受けてしまうこともあるのです。
本記事では、そんな競走馬が引退後どの様な人生を歩んでいるのか紹介していきます。
引退後の競走馬の行方
年間5,000頭もの競走馬が引退していまっていますが、これらの競走馬が引退してからのいき先がほとんど用意されていないのが現実です。
JRAによると「引退後の競走馬は乗馬クラブへ渡る」とありますが、5,000頭もの引退馬の全てを受け入れられる程乗馬クラブがあるでしょうか?
確かに、一度は乗馬クラブへ渡るかもしれませんが、競走馬の維持にはそれなりにお金がかかるもので、人知れず殺処分されてしまい食用の馬肉になっている可能性も否定できません。
日全国乗馬倶楽部振興協会に登録されている乗馬クラブを調べてみると、日本全国に約274ヶ所あることがわかりました。
274ヶ所しかないのであれば、年間に引退場を1つの乗馬クラブで20頭程度受け入れなければなりません。
現実に考えて引退馬の受け入れ口が少なすぎます。
競走馬に乗馬クラブは合わない
競馬で活躍してきた競走馬たちは常に速く走れるように生まれてきた時から調教されています。
その為、「速く走る」という事が習慣づけされた競走馬たちは引退後に乗馬クラブへ行っても、競走馬の「速く走る」という週間が抜けず、元々乗馬クラブにいた馬たちのように、ゆっくり歩いたり、走ったりする事が受け付けられない事もあり、競走馬にとって快適な環境でない場合もあるのです。
また、インターネット所には、引退後どこの乗馬クラブへ行ったかが書かれていることがありますが、乗馬クラブへ行ったあとの様子が一切書かれていないのがほとんどです。
乗馬クラブで余生を謳歌しているのか、維持が厳しくなってしまい、殺処分されてしまったのか何も分かりません。
競走馬として生まれてたサラブレッドは引退後に乗馬クラブへ移ったとしても、充実したセカンドキャリアを積むことができない可能性が高いのです。
競走馬のセカンドキャリア
競走馬として役目を終えてたら殺処分というのは、あまりにも残酷で人間のエゴでしかありません。
本来の馬は優しか、賢く、愛情深い性格の持ち主なので、その命を全うして人間のエゴでの殺処分は避けるべきと考えます。
競走馬になるには「速く走る」事が必要不可欠ですが、いくら実績のある親同士の子どもだからと言って、必ず競走馬に向いている馬が誕生するとは限りません。
誕生する馬はそれぞれ違う性格を持っていて、その特性も様々です。
競走馬ではなく、障害レースに向いている競走馬、人懐っこく牧場や観光地で可愛がられるのに向いている馬もいます。
それらの競走馬たちは乗馬クラブへ移るよりも、競走馬よりも活躍できる可能性を秘めているのです。
こちらでは、そんな競走馬たちがなり得る可能性のあるセカンドキャリアについて紹介します。
ホースセラピー馬
競走馬として「速く走る事」を優先してきた引退馬ですが、本来の馬は、人間に対してとても従順で優しく愛情深い性格をしている動物です。
この、本来の馬の性格を活かし、馬と触れ合ったり、乗ることによって、心理的・身体的に癒やしを与えてくれる職業がホースセラピーです。
馬の優しく大きな瞳、温かい体温、従順な性格、馬は言葉を発する事はできませんが、馬の優しさは大きな体から滲み出ており、人を癒やしてくれます。
競走馬として活躍引退してしまっても馬本来の特性を活かせるので、どの馬でも引退後に活躍できる可能性があるかもしれません。
障害飛越競技馬
競走馬として活躍する事ができず、引退を余儀なくされてしまったとしても、「障害飛越競技」という競技で活躍できる競走馬も中にはいます。
障害飛越競技とは、競技場に設置された多種多様な形を障害物を決められた順番で飛び越え走行するものです。
障害物にぶつからない様に避けたり、コースの順番を一つ一つ守ってゴールする事が求められる競技です。
「速く走る事」ができなくても、高いジャンプ力を持った競走馬は多くいます。
そんな競走馬たちは引退後、この障害飛越競技の「競技馬」として活躍する可能性も秘めているのです。
競馬ファンからも、あまり馴染みのない競技ですが、実は2020年に開催される東京オリンピックでは正式な競技となっています。
かつて競馬の競走馬として活躍していた馬が障害飛越競技
で競技馬として活躍し、もしかしたら東京オリンピックでもその姿が見れる日が来るかもしれません。
競走馬の為に支援をしよう!
競走馬が引退してしまうと、殺処分になる事が多く非常に痛たまれない気持ちになってしまいます。
多くの方が「できるたけ殺処分を減らしたい」と考えているかもしれません。
そこで、競走馬として全うした引退馬が殺処分になって大切な命が失われないようにするにはどうすれば良いのでしょうか?
私たちにも簡単に支援する事が可能で、少しでも支援する事によって殺処分される引退馬が減ってくるでしょう。
こちらでは、私たちでも簡単にできる支援策を紹介していきます。
チャリティグッズで支援
引退した後の競走馬を支援するNPO団体などがあり、それらの団体はチャリティグッズなどを販売しています。
販売されているチャリティグッズの売上を引退馬のリトレーニング費用や維持費として活用していたりもするのです。
その為、チャリティグッズを購入すれば少なからず引退馬の手助けにはなるのではないでしょうか?
一つ一つの支援金額は微々たるものですが、数多くの方がチャリティグッズを購入する事によって、殺処分される予定だった馬の命が助かるかもしれません。
寄付で支援する
引退した競走馬の為に、寄付金を募るNPO団体も存在します。
少額から寄付を受け付けている団体もあるので、引退場の支援をしたいと考えているのであればぜひ寄付を検討してください。
中には、少額では意味がないと考える人もいるかもしれませんが、競走馬を助けたいという気持ちを持つ方が多く集まれば、引退後の競走馬たちが無駄に殺処分になったりせず、セカンドキャリアの道を切り開ける可能性が高まっていくでしょう。
まとめ
競走馬が引退後、多くは殺処分という悲しい事態になっている事が分かって頂けたかと思います。
馬としては、まだまだ生きていれるのに「競走馬」として活躍できないという人間の勝手な理由だけで引退馬が殺されているのは非常に悲しい現実です。
今後も引退馬が減ることはないと思われるので、引退した競走馬たちの今後の未来を切り開いていけるよう、現状を知り、寄付など私たちにできる事を積極的に行っていきましょう。